SIerとWeb系企業の違い|キャリアと働き方の比較

はじめに

IT業界を目指す人にとって、最初に直面する大きな疑問のひとつが「SIerとWeb系って何が違うの?」というものです。
同じIT業界でも、仕事内容や働き方、キャリアパスは大きく異なります。大学生で就活を控えている人、または社会人としてIT業界に転職を考えている人にとって、この違いを理解することは企業選びの大切な第一歩です。

本記事では、SIerとWeb系企業の違いを具体的に解説し、それぞれの特徴や将来性を踏まえながら、自分に合った環境を考えられるような視点を提供します。

SIerとは何か?

まず「SIer(エスアイヤー)」という言葉を正しく理解しておきましょう。SIerは「System Integrator(システムインテグレーター)」の略で、企業や官公庁などクライアントの要望をもとにシステムを企画・設計・開発・運用する企業を指します。

例えば銀行の勘定系システムや自治体の住民管理システムなど、大規模かつ複雑なシステムを担当することが多く、社会インフラに直結する重要なプロジェクトを担うことも珍しくありません。

SIerの仕事は一言で言えば「お客様の課題をITで解決するための総合請負業」です。そのため、開発だけでなく要件定義や調整、運用保守まで幅広く関わる機会があります。

Web系企業とは何か?

一方、Web系企業とは、自社でWebサービスやアプリを開発・運営する企業を指します。SNS、ECサイト、クラウドサービス、スマホアプリなど、私たちが日常的に利用する多くのサービスはWeb系企業が提供しています。

Web系企業の特徴は「自社サービスを育てる」という点にあります。ユーザーの声をもとに改善を繰り返し、UI/UXの向上や新機能追加を行いながら、サービスの価値を高めていきます。開発スピードが速く、トレンドの技術を取り入れる文化も強いのが特徴です。

SIerとWeb系の仕事内容の違い

両者の大きな違いは「誰のために開発しているか」と「開発のサイクル」にあります。

  • SIer:クライアント企業の要望に応じてシステムを構築する。開発期間は長く、数ヶ月から数年単位の大規模案件が中心。
  • Web系:一般ユーザーに向けてサービスを提供する。開発サイクルは短く、数週間単位で改善を重ねる。

つまり、SIerでは「顧客との信頼関係」や「堅牢性」が重視され、Web系では「スピード」や「ユーザー体験」が重視される傾向があります。

働き方と職場環境の違い

SIerの働き方

SIerは大規模なプロジェクトが多いため、チームでの役割分担が細かく決まっています。上流工程(要件定義・設計)と下流工程(開発・テスト)に分かれ、経験年数やスキルに応じて担当が変わります。

また、顧客先に常駐する「客先常駐型」の働き方が多いのも特徴です。大手企業や官公庁と関わることが多いため、安定感がある反面、柔軟性には欠ける部分もあります。

Web系の働き方

Web系企業は自社オフィスやリモートで働くケースが多く、働き方の自由度が比較的高いです。アジャイル開発やスクラム開発など、チームで素早く改善を重ねるスタイルが主流。
フラットな組織文化を持つ企業も多く、若手の意見がサービスに反映される機会も豊富です。

キャリアパスの違い

キャリア形成の観点からも、両者には違いがあります。

  • SIerでは、経験を積むことで要件定義やプロジェクトマネジメントを担う機会が増えます。技術よりも「調整力」や「管理能力」が評価されやすく、マネジメント職に進むケースが多いです。
  • Web系では、技術力を磨き続けることでシニアエンジニアやテックリードとしてキャリアを積めます。また、サービス企画や事業開発に関わるキャリアパスも開かれています。

どちらを選ぶかによって、将来「マネジメント寄り」か「技術寄り」かの方向性が変わっていく点は大きなポイントです。

それぞれのメリット・デメリット

SIerとWeb系の特徴を整理すると、次のようになります。

SIerのメリット

  • 大規模案件に関わり、社会インフラに貢献できる
  • 安定性が高く、福利厚生が整っている企業が多い
  • プロジェクトマネジメント能力が身につく

SIerのデメリット

  • 技術力よりも調整力が重視される傾向がある
  • 下流工程ばかりの配属になる可能性もある
  • 客先常駐が中心で、自社文化を感じにくい

Web系のメリット

  • 技術を磨きやすく、最新の技術に触れられる
  • 働き方の自由度が高い企業が多い
  • サービスを自分で育てる実感を得られる

Web系のデメリット

  • サービスがヒットしないと事業が不安定になりやすい
  • スピード感についていけないと苦労する
  • 技術的な成果が直接求められる

どちらが自分に合っているのか?

結局のところ「SIerが良い」「Web系が良い」と一概に言えるものではありません。
重要なのは「自分がどのような環境で働きたいか」を考えることです。

  • 安定性を重視し、社会に不可欠なシステムを支えたいなら SIer
  • 技術力を磨き、スピード感のある環境で成長したいなら Web系

自分の価値観や働き方のイメージを照らし合わせながら選択することが、就活・転職の軸につながります。

まとめ

SIerとWeb系企業は、同じIT業界でも仕事内容や働き方、キャリアの方向性が大きく異なります。
本記事を通じて、それぞれの特徴を具体的にイメージできるようになったのではないでしょうか。

就活生や若手エンジニアにとって大切なのは「どちらが良いか」ではなく「自分がどちらを選びたいか」です。SIerとWeb系の違いを理解した上で、自分のキャリアに合った軸を見つけてみてください。

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